盛土規制法について

query_builder 2024/06/07
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盛土規制法は、危険な宅地造成、盛土等、土石の堆積について規制し、崖崩れや土砂の流出による災害を防止するための法律です。 従来の宅地造成等規制法をベースにしながらもこれを抜本的に改め、令和4(2022)年5月に制定され、令和5(2023)年5月に施行されました。

1. 法律の背景と目的

〈背景〉
近年、日本各地で盛土による土砂災害が多発しています。特に2018年の西日本豪雨や2019年の東日本台風(令和元年台風第19号)などで、盛土が崩壊し大きな被害をもたらしました。これらの災害を受けて、盛土の安全性を確保するための法的枠組みが急務となり、盛土規制法が制定されました。

〈目的〉
この法律の主な目的は以下の通りです。

・盛土による土砂災害の防止
・環境の保全
・公共の安全の確保

2. 適用範囲

盛土規制法は、一定規模以上の盛土工事に対して適用されます。具体的な適用基準は地方自治体ごとに異なる場合がありますが、一般的には以下のようなケースが含まれます。

・高さが一定以上の盛土(例えば2メートル以上)
・面積が一定以上の盛土(例えば500平方メートル以上)
・公共事業や住宅地開発などの大規模工事

3. 許可と届出

〈許可制〉
盛土を行う際には、都道府県知事または市町村長の許可が必要です。許可を得るためには、以下の書類を提出する必要があります。

・盛土計画書
・土質調査報告書
・環境影響評価書(必要な場合)

〈届出制〉

許可が不要な小規模な盛土工事でも、一定の条件を満たす場合は事前に届出が必要です。届出により、行政が工事内容を把握し、安全性の確認を行います。

4. 技術基準の設定

盛土規制法では、盛土工事の安全性を確保するための技術基準が定められています。具体的な基準の例としては以下が挙げられます・

〈土質と排水〉

・盛土に使用する土の種類や品質の基準
・排水設備の設置基準
・地下水位の管理

〈安定性〉

・盛土の勾配や高さの基準
・地盤の支持力の評価
・擁壁や補強材の設置基準

〈環境保全〉

・環境への影響を最小限に抑えるための対策
・植生の保護や復元計画

5. 監視と指導

地方自治体の役割として、盛土工事の監視と指導が求められます。具体的な監視方法と指導内容は以下の通りです・

〈監視〉

・工事現場の定期的な巡回
・工事内容の記録と報告の確認
・必要に応じた試験や検査の実施

〈指導〉

・不適切な工事に対する改善指導
・安全対策の強化指示
・違反行為に対する是正命令

6. 罰則規定

盛土規制法には、違反行為に対する罰則が定められています。具体的な罰則の内容は以下の通りです。

〈罰金〉

無許可で盛土工事を行った場合や、規定に違反した場合には罰金が科されます。

〈行政処分〉

違反が認められた場合、行政は工事の停止命令や是正命令を出すことができます。

〈刑事罰〉

是正命令に従わなかった場合、刑事罰が科されることがあります。

7. 緊急時の措置

自然災害(地震、豪雨など)が発生した際には、盛土の安全性が大きな懸念となります。法律では、以下のような緊急措置が定められています。

〈安全確認〉

・速やかな現場の点検と安全確認
・必要に応じた避難勧告の発令

〈緊急工事〉

・追加の補強工事や排水設備の設置
・緊急的な盛土の安定化措置

8. 住民の参加

盛土工事が行われる地域の住民は、その計画に対して意見を述べる機会が与えられます。住民の意見を反映することで、地域の安全と環境保全を図ります。具体的な参加方法は以下の通りです。

〈住民説明会〉

・工事計画の詳細を説明する住民説明会の開催
・住民からの質問や意見を受け付ける

〈意見書の提出〉

・住民が意見書を提出するための窓口設置
・意見書の内容を考慮した計画の修正

9. 環境影響評価

大規模な盛土工事に対しては、事前に環境影響評価(EIA)を行うことが求められます。これにより、工事が環境に及ぼす影響を予測し、適切な対策を講じることが求められます。具体的な手順は以下の通りです。

〈調査〉

・工事予定地の環境調査(生態系、水質、空気質など)
・調査結果の分析

〈評価〉

・工事が環境に及ぼす影響の予測
・影響を最小限に抑えるための対策の検討

〈公表〉

・環境影響評価書の公表
・評価結果に基づく住民説明会の開催

〈まとめ〉
盛土規制法は、土砂災害や環境破壊を防止するために必要な規制を細かく定めています。許可と届出、技術基準の遵守、監視と指導、罰則の適用、緊急時の対応、住民の参加、環境影響評価など、総合的な対策を講じることで、安全で持続可能な土地利用を実現することが目的です。この法律の適切な運用により、盛土による災害リスクを低減し、安心して暮らせる社会を目指しています。

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